朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「え……っ」
気が付けばどんどん相手の顔が近づいてきている。美しい金の前髪に目が奪われる。離れないとと思った時には、後頭部に大きな手が回されていた。
逃げ場をなくした私の唇に、温かいものがそっと触れた。それはすぐに離れていく。やっとピントがあった視界の真ん中には、エドガーの美しい笑顔があった。
今この人、キスした……!?
ぴいいっとラッセルが冷やかしの口笛を吹く。我に返り列席者たちを見ると、みんな気恥ずかしそうな顔をしていた。
「国王陛下、そういうことは結婚の儀を終えてからするものです」
何大臣だっけ。もう忘れちゃったけど、偉そうな口ひげをたくわえた老人が咳払いをして言う。
そ、そうよそうよ! まだ結婚もしていないのに皆の目の前でなんてことするのよ。
ドキドキと早いリズムで打つ鼓動が頬を熱くさせる。
「ああ、すまない。弟に取られたくなくて、唾を付けておこうと思ったんだよ」
ぱっと爽やか青年の笑顔に戻るエドガー。唾を付けるって……文字通りじゃない。そう言うとちょっと汚い感じがするからやめてほしい。
「陛下がこれだけ気に入っていらっしゃるんだ。きっと素晴らしい王妃になるに違いない」
「お二人が仲むつまじければ、両国の国民もいつか心を通わせることができるでしょう」