朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
なんとか朝食会を終えて、自室に戻ろうと廊下を歩く。ふらふらする私を支えながら、ボートレイト伯爵が言った。
「いったい国王陛下は何を考えているのでしょう。処刑されなかったのは良かったものの……」
「わからない。全然、わからない」
あんなに冷たかったエドガーがどうしていきなり手のひらを返したような態度になったのか。考えてもさっぱりわからない。
「とにかく、早くこの国から逃亡した方が良さそうですね」
「逃亡してどうするの。アミルカに帰ったって、すぐに見つかってしまう。他の国に行ったとして、私とあなたとどうやって暮らしていくのよ」
王女と言う肩書を取れば、私はただの役立たず。それに伯爵はただのおじいちゃん。
「亡命するのですよ」
「なるほど、亡命……」
「もし、そこのお二人」
ぼそぼそと話していると、いきなり後ろから声をかけられた。ぎくりとして振り返ると、そこには見覚えのある人が。背がエドガーよりも高くて肩幅が広い。首は太く、髪はこれ以上できないくらい短い。えっと、誰だっけ。
「私は王の親衛隊長のセンテムと申します」
きょとん顔の私に丁寧に自己紹介してくれた親衛隊長。いったい何の用? ごつい顔は怒っていなくても怖い。眉の上の切り傷の痕がさらに怖さをプラスしている。