朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令

なんとか朝食会を終えて、自室に戻ろうと廊下を歩く。ふらふらする私を支えながら、ボートレイト伯爵が言った。


「いったい国王陛下は何を考えているのでしょう。処刑されなかったのは良かったものの……」

「わからない。全然、わからない」


あんなに冷たかったエドガーがどうしていきなり手のひらを返したような態度になったのか。考えてもさっぱりわからない。


「とにかく、早くこの国から逃亡した方が良さそうですね」

「逃亡してどうするの。アミルカに帰ったって、すぐに見つかってしまう。他の国に行ったとして、私とあなたとどうやって暮らしていくのよ」


王女と言う肩書を取れば、私はただの役立たず。それに伯爵はただのおじいちゃん。


「亡命するのですよ」

「なるほど、亡命……」

「もし、そこのお二人」


ぼそぼそと話していると、いきなり後ろから声をかけられた。ぎくりとして振り返ると、そこには見覚えのある人が。背がエドガーよりも高くて肩幅が広い。首は太く、髪はこれ以上できないくらい短い。えっと、誰だっけ。


「私は王の親衛隊長のセンテムと申します」


きょとん顔の私に丁寧に自己紹介してくれた親衛隊長。いったい何の用? ごつい顔は怒っていなくても怖い。眉の上の切り傷の痕がさらに怖さをプラスしている。


< 64 / 230 >

この作品をシェア

pagetop