朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令

これ以上、エドガーがどんな人かなんて知りたくない。知れば知るほど、暗殺なんてできなくなってしまう。そんな気がする。

取りあえず、一度部屋に戻って落ち着こう。おじいちゃん、じゃなかったボートレイト伯爵とのそのそと歩き出すと……。


「おじいさんとひそひそ話しない方がいいよ、お姫様」


廊下の角を通りすぎたところで背後からそんな声がした。もう、今度は何よ。何回振り向かせる気よ。と思いながら上半身だけ後ろを向くと、薄暗い角から一人の男が現れた。


「ラッセル」


エドガーの似てない弟。彼は口元に薄く笑みを浮かべ、腕組みをして私を見下ろす。


「じいさん、耳が遠くなってきてるだろ。内緒話が周りに聞こえちまってる」


ボートレイト伯爵はハッと口を押えた。たしかに、耳が遠い人って声が大きくなるわよね。私が言ったら怒りそうなものだけど、相手は王族。伯爵は真っ青になって黙ってしまった。


「大丈夫。今は周りに誰もいない」

「へ、へえ~」


適当にうなずきながら逃げようとすると、ラッセルは行く手を阻むように私の前に出て、ぐっと顔を近づけてきた。さっきエドガーにキスされたことを思いだし、身構えた瞬間。


「手作りお菓子に入れた毒薬は、効かなかったみたいだね」


耳元で、そう囁かれた。ぞわりと全身に悪寒が走る。


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