朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令

この人、そういえば厨房で出会った時、あの毒薬が入った瓶を目撃していた。毒薬の瓶には当然だけどラベルもなにも貼っていなかった。もしかしたら、適当なことを言ってからかっているだけかも。


「いやいや、何を言って……」


笑ってごまかそうとした私の手を、ラッセルがつかむ。にやっと笑ったまま、彼はさらに囁いた。


「国王の食べ残しをどこに捨てた?」


どこに……って、普通に伯爵が厨房へ持っていって、野菜くずや食べ残しを処理するゴミ箱に入れたはずだけど。


「あのゴミ箱のゴミは、家畜の飼料になっているんだ」

「えっ」

「今頃、豚や牛が死んでるかもな」


指先が震えだす。なんてこと。そんなことになったら国中が大騒ぎだ。


「なんてな。食わせる前に見つけて、俺が処理してやったよ」


青ざめているであろう私をあざ笑うかのように、ラッセルが口の端を上げる。


「怪しい粉を入れてると思ってたから。ひとつ拝借して、砕いて、たまたま近くにいた小鳥にやったんだ。コロッと死んじまった。だからゴミ箱ごと燃やしてやったさ。害虫が発生してたことにしてな」


ラッセルが一言言うたび、体が震える。ばれちゃった。もう終わりだ。ここにはエドガーがいないもの。ここで首をはねられて、髪の毛持って彼にぶらーんと突き出されるんだ……。


< 67 / 230 >

この作品をシェア

pagetop