朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


ユニークなメンバー紹介に思わず一度吹き出すと、笑いが止まらなくなってしまった。


「くだらないわ」


鼻毛とか、まるで幼児の会話じゃない。なのにどうしてだろう。エドガーが冗談を言ってくれるのが嬉しい。この国に来て初めて、ちゃんと笑えたような気がする。


「エピソードがないと覚えられないだろ」

「ええ、そうね。その通りだわ」


扇で口元を隠し、真面目に訓練している親衛隊にはわからないように声を殺して笑う。


「どうぞ、王女さま」


ルーシアが冷たい飲み物を持ってきてくれたので、扇をしまってそれに口を付ける。笑いが落ち着いたところでエドガーを見上げると、どきりとした。

彼が見たことのないとても優しい表情で、私を見下ろしていたから。

人前で見せる作り物のような美しい完璧な微笑みじゃない。目や口の形は同じでも、瞳の色が違う。冷たいアイスブルーではなく、暖かな春の空のように見えた。


「よし、センテム。相手をしろ」


練習試合が一通り終わったところでエドガーがセンテムに声をかけた。腰の剣を抜き、二人で向かいあう。私は飲み物をルーシアに預けた。


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