朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


鼻毛のボネタが審判を務めるみたい。彼が始まりの号令をかけると、二人は剣を構えてじりじりとお互いの間合いや隙を見極めようとしているみたい。

そのエドガーの瞳は冷静そのものを現しているような青。やっぱり、さっきとは少し違う色に見えた。

さっきまで落ち着いていた胸が突然高鳴り始める。先に地を蹴って相手に斬り込んだのは、センテムだった。体が大きいだけあって、力強く大きな剣を振り回す。

エドガーは残像が見えそうなほどの速さでそれを右へ左へとよける。そして上から打ち下ろされたセンテムの攻撃を刃で受け止めた。

ギインと大きな音がする。火花が出そうなくらい激しくぶつかり合う剣と剣。


「エドガー……」


頑張って。勝って。負けたらダメ。怪我なんかしちゃ、もっとダメ。

気づけば、そんなことを思っていた。胸の前で握りしめた手に汗がにじんでいた。センテムも強い。しかも国王相手なのに遠慮もしてないみたい。


「が……」


力で押しても勝てないわ。速さで勝負よ。なんてわかったようなことを思うけど、センテムだってただの怪力じゃない。じゅうぶんな速さを持っている。押されているように見えるエドガー。


「頑張って、陛下!」


< 73 / 230 >

この作品をシェア

pagetop