朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「抜いてごらん」
って言われたって……。左手で鞘を持ち、右手で柄を持って抜こうとするけど、短剣でも重くて右手一本じゃ全然自由に動かせない。
悪戦苦闘している私を、親衛隊の皆が苦笑いして見ている。そんななか、エドガーだけが心底楽しそうな顔をしていた。もちろん、親衛隊からは見えない角度で。
うう、意地悪。ひどいわ、笑いものにするなんて。
「無理!」
結局剣を抜くことすらできず、両手で抱えたそれをエドガーに返却すると。
「じゃあ、これならどうだ」
彼は腰のポケットから、さらに小さなナイフを取りだした。私の両手のひらに乗るサイズで、刃の部分には草の模様が掘られた鞘がついている。
「それをあなたに差し上げよう」
「あ、ありがとうございます」
アミルカにいるころは全然必要なかったけど、今はとりあえずもらっておこう。エドガーの言う通り、もしものときに役に立つかもしれない。
非力な私でも、さすがにナイフは簡単に抜くことができた。磨かれた銀色の刃に、自分の顔が写る。
「しっかり柄を握って、上に上げ、まっすぐ振り下ろしてごらん」
エドガーが背後に回る。すると腰に彼の腕が添えられ、ナイフを一緒に握られた。まるで背後から抱きしめられているようで、頬が熱くなる。