朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


「やっと着きましたね」


ぼんやりとお母様のことを考えていたら、いつの間にか寝ていたみたい。馬車が停まり、外の世界に降り立つ。護衛としてついてきた兵士の馬車が、私の馬車の前後に停まっていた。

ここが国境。すぐそこが敵国、シャイレンドルフ。木々に囲まれた森は静かで、少し前までの戦争の面影はここでは感じられない。


「ようこそシャイレンドルフへ。お待ちしておりました、ミリィ王女様」


前を走っていた馬車の向こうから見覚えのない女性たちが十名ほど現れ、恭しく頭を下げた。みんな動きやすそうな質素なドレスを着ている。


「さっそくお召し替えを。さ、幕を用意して」

「お召し替え?」


どうしてこんな森の中で、兵士たちがいる真ん前で着替えなきゃいけないの。首をかしげる私に、女性が深く深く頭を下げて言った。


「はるか昔から、他国から姫を迎える時のしきたりでございます。シャイレンドルフへ祖国の物を持ち込むことはできません」

「そんな」


ドレスも下着も、何もかも祖国の物を身に付けてシャイレンドルフへ入ることは出来ないらしい。ずっと昔から、他国から姫を迎える時の決まりなんだそう。おかしなものを持ち込まないよう、身体検査も兼ねているのかも。




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