朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「ねえ、熱病で倒れてからボートレイト伯爵に会ってないんだけど、どうしたのかしら」
「ああ、彼はアミルカに用事があるとのことで一度帰られましたよ。そろそろ戻ってこられるんじゃないでしょうか」
アミルカに用事? そういえば、毒殺失敗直後に一度帰らなければとか言ってたっけ。
懐かしい祖国。離れてからまだそれほど経っていないのに、もう何年も帰っていないみたい。
もっとも、人質同然の身でシャイレンドルフに来た私は、もう二度と里帰りできないのだけど。
「ちょっとだけ外出してもいい? もうすっかり元気だし、ずっと部屋の中じゃ逆に体が悪くなりそう」
「ええ、宮殿の外に出なければ良いと陛下が仰っていましたよ。ただ、一人ではいけないという制限つきですが」
一人でいると、私に良くない印象を持っている人に何をされるかわからないからかな。エドガーが前にそんなようなことを言っていたよね。
結局、宮殿の中を散歩することにした。一階に降り、花壇が見える中庭をゆっくり散歩する。ルーシアが大きな日傘を持って私の後をついてきていた。
色とりどりの花が整然と植えられている花壇を見ると、心が和む。
「よっぽど腕の良い庭師がいるのね。よく手入れされてる」
「国王陛下が花がお好きなんですよ。専用の温室を持っていらっしゃるくらいで」
「そんなに? 意外だわ」