朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


これは参った。ドレスの中には何もないけど、荷物の中には国王暗殺のための武器や毒薬が隠されている。それを見つけられたら即処刑だわ。

冷汗がたらりとこめかみを流れる。先方の命令に反するわけにもいかず、私は二つの木に結ばれた幕の内側で裸になった。女性たちは私が何も隠し持ってないこと、感染症を患っていないことを確認すると、すぐにシャイレンドルフ製の下着を差し出した。

コルセットを付けられ、スカートを膨らませるための下着を履いたとき、背後から馬がぶるぶると唇を鳴らすような音がした。


「どうした?」


ボートレイト伯爵の声が聞こえた。幕の向こうが騒がしくなる。馬が落ち着かなくなっているみたい。荒い息が聞こえてくる。

そんなことはおかまいなし、着替えを続けようとする女性たち。しかし幕の向こうで、「あっ!」と大きな声が聞こえた。


「お、王女様お逃げください。狼の群れが……」

「えっ!」


御者の声が聞こえ、背筋に冷たいものが走る。まだこんなに日が高いのに、狼の群れですって? しかもまだ、着替え中……って、そんなこと言ってられない。

逃げなきゃ。でも、どこに逃げたらいいの。キョロキョロしていると、目前の深い森の中から、ゆっくりと灰色の狼が三頭現れた。


< 9 / 230 >

この作品をシェア

pagetop