偽りのフィアンセ
第一章……偽りの二人
それを知ったのは、あたしがまだ幼い頃。
不思議とショックではなかった。
だけど、日に日に増していくその気持ちの正体に気づいた時……同時に、それは決して叶わないということを悟ってしまった。
それが全ての始まりだったのかもしれない。
それがあたしの足枷になっているということに、気づいた時にはもう遅かった。
──タスケテ
何度叫んでも誰もあたしを救ってはくれない。
深みに嵌まったあたしの手を引っ張り上げてくれる人はいなかった。