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一年前の夏に会ったのが最後だった


必ずもう一度会いに行くと約束した


冬に送ろうと思っていたクリスマスカードは


結局送れなかった


もう、文字を読むことさえ出来ないかもしれないと思ったから


そんなどうでもいいことを頭でっかちに考えて


わたしはきっと


大事なものを失った





約束守れなくてごめんね


誰より幸せになるべき人だった


自分を犠牲にしても


周りの人間のために力を尽くす


それを厭わない


自分は何も望まずに


どうしてそこまで自分以外の人のために


自分を捧げたのか


不幸が沢山あっても


一度も嘆くことなく


直向きに、目の前のことを懸命に取り組んできたのか


わたしにはできないことばかり


あの人には、とても敵わない


逞しくて、不器用で


誰より優しくて


寂しさを隠して


わたしはもっと早く気付くべきだった


あの人に何も返せないままだった



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