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すべての世界が真っ白に映っていた


旅立ったと、電話越しに聞いた時から






あの人の元へ行かなければならない


まだ間に合うかもしれないと思っていた時


一番早い時間の便の飛行機を予約した


それでも数時間の差があって


もどかしくて居ても立っても居られなかった


もし、こんな仕事を選んでなければ


もっと早くあの人のいる場所へ行けたのに


そんなことを思っていた



長期出張で来ていたその土地に来て


2ヶ月目の出来事だった


全ては自分で選んできた道なのに


悔しくて、情けなくて仕方なかった


肝心な時に、何もできない自分に




あの人はもういない


必死になって取ったフライトのチケットも


意味なんて為さない


間に合わなかったのだ


それでも行かなければならない


あの人へ別れの挨拶をしなければ



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