エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
プロローグ
「ねえ火菜!?  ここから出たいって思う?」  

突然、勇が聞いてきたので私は一瞬戸惑ってしまったが


「出たいに決まってる!!」と言うと勇はとても困った顔をした。


「僕はここが好き。だって学校に行かなくていいし、大好きな火菜とずっと一緒にいられるから…。」


子供みたいに無邪気な笑顔で勇が言う。


そう勇にはいつも「結婚しよう!」って告られてる。

悪い気はしないし、むしろ子供の頃は私もそう思ってた。

だから二人で幾度となくお嫁さんごっこもした。

でも私はある時、知ってしまった。 二人は絶対に結婚出来ないと…。


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