エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 黒沢は自分で血がたぎるのが分かった。

(イカレテル。美佐子と一緒にいるとそんな奴ばかりに出会う。)

「だからねーその患者の遺族と和解するのにだいぶんお金を使ってあげたのよ。だからたまには、私の頼みも聞いてもらわないとね。」

(それが、さっきの殺人依頼か!?なんて奴らだ。)

 美佐子は、黙って考え込む黒沢に、

(ちょっと刺激が強かったかしら…)

と不安になったが、黒沢は、美佐子を後ろから抱き締めると、

「アンタ最高だ!アンタといると最強のワルになれそうだ。俺にもなんでもやらせてくれ!!」

 今、黒沢は完全に美佐子を拝み崇めて、

(美佐子の為ならこの命さえ投げ出してもいい。)

と、自分自身に誓った。

「さあ!忙しくなるわよ。絶対にあの子たちを逃がさないからね。」

 美佐子も黒沢の気持ちが伝わって身震いをした。

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