エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
トビラノムコウヘ
その日は忘れたくても、忘れられない一日になった。
7月25日 早朝、中条家の電話が鳴り響き、誰もが不安と共に目を覚ますと、息を飲んで固まった。
すると、美佐子が興奮して部屋を飛び出し、廊下で
「里子!里子!起きて!!大変よ。旦那様が急変してたった今、息を引き取ったって!」
と、屋敷中に響き渡る声で階下へと叫んだ。
モチロン、これは演出だったが、そうとは知らない里子は飛び起きて来た。
「それは本当でございますか?」
「ええ、今、病院から電話があったの。昨日は体調よさそうだったのにどうして!?」
美佐子は涙混じりに訴えた。
「本当ですね。では今から病院に参られるのでしょう?」
「ええ、急いで支度するから車の手配をお願いね。」
美佐子は部屋に戻ると、大輔に電話をかけた。
すると、大輔は興奮して、
「なに!?やけに早かったな!!お前が直接、手を下したりはしとらんだろうな。」
と、まくし立てた。
「それはないからご心配なく。でも、危なかったんです。中条がマスコミに中条家に都合の悪いデータを流すつもりだった所を食い止めたのですから…」
「そうか!?」
7月25日 早朝、中条家の電話が鳴り響き、誰もが不安と共に目を覚ますと、息を飲んで固まった。
すると、美佐子が興奮して部屋を飛び出し、廊下で
「里子!里子!起きて!!大変よ。旦那様が急変してたった今、息を引き取ったって!」
と、屋敷中に響き渡る声で階下へと叫んだ。
モチロン、これは演出だったが、そうとは知らない里子は飛び起きて来た。
「それは本当でございますか?」
「ええ、今、病院から電話があったの。昨日は体調よさそうだったのにどうして!?」
美佐子は涙混じりに訴えた。
「本当ですね。では今から病院に参られるのでしょう?」
「ええ、急いで支度するから車の手配をお願いね。」
美佐子は部屋に戻ると、大輔に電話をかけた。
すると、大輔は興奮して、
「なに!?やけに早かったな!!お前が直接、手を下したりはしとらんだろうな。」
と、まくし立てた。
「それはないからご心配なく。でも、危なかったんです。中条がマスコミに中条家に都合の悪いデータを流すつもりだった所を食い止めたのですから…」
「そうか!?」