エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「バカたれが!!テレビかなんかで知った名前を適当にいいやがって!よぉーしどっちも百万ずつ買ってやる。それで損したら分かってるだろうなー。期限は一週間後だ。その時に下がってたらお前ら二人ともお仕置きだ!」  こうしてまた中条のゲームが始まった。

 私は運を天に任せるしかなかった。


 だって、お仕置きとは、殴る蹴るの暴力の応酬だから…
 最近、酒の匂いの消えない中条に、近寄られるのが一番イヤな事だ。

そして、一週間後…

 天は我々を見離さなかった。

 『○○電機』は少し上がっただけだったが、『○○株式会社』が新商品を発表して株価がいきなり高騰したのだ。

 だからモチロンお仕置きはなく、これに気を良くした中条は、その後も私に意見を求めるようになった。

 そしてほとんどがビンゴ!!

 どうして!?

 なぜ?

 自分でも驚く程に当たり続けた。

でも、こうして私は中条の株のアドバイザーとして使われる事になったのだ。
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