エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 勇は、ただ漠然と、

(あの人が死んだら、あのおばさんが僕たちにひどい事をするんだ。だから逃げなきゃならない。僕はこのペンダントを火菜に一つあげるのが、仕事。『これは大事な事だよ』って、お母さんが言ってた。)

 勇は首から、例の青いペンダントとシルバーのロケットペンダントの両方を首から下げていた。

(後でこっそり火菜にあげなくっちゃ。)

(そして、愛する火菜を守るんだ。お母さんは僕たちは『結婚』出来るよって言ってた。)

 この事が今の勇には支えだった。

ただ一つ気掛かりな事はあるけども…。

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