エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 屋敷の近くまで来て、源は足止めをクラっていた。


 昨夜から、たくさんの男たちが塀の回りを取り囲むように立っていて、訪問者はチェックを受けている。


 仕方なく、昨夜はあきらめて帰り、今朝は早めに来てみたのだが、昨夜のスーツ姿の男たちが、今朝は喪服姿になってその数も、倍になって立っている。

 もう、これは中条の死は間違いないだろう…

 早く火菜たちに会って打ち合せしなければ、と思うのだが、今、迂闊に中に入れない。

 どうやら、美佐子の部下が俺の事をかぎ回っていたらしい。

 ヘタすると『脱出計画』もバレている。

 今すぐ、火菜と勇にあって励ましてやりたいが、もし、捕まったらすべてがパアになる。

 必ず、どこからか侵入出来るハズだ!

 源は慎重に屋敷の回りを見て回る事にした。

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