エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「今度は銀行のキャッシュ・ディスペンサーの所に行きました!」

「いくら下ろすか分かる?」

「ハイ。隣りが空いてるので、近付きますのでこのままでお待ち下さい。」

 2分程、無言になって周りの雑踏だけが聞こえる。

 美佐子はそこがショッピングモールか何かだろうと想像した。すると、

「分かりました。結局下ろしたのは百万でしたが、最初は三百万と押してエラーになっていました。今はCDで下ろせる金額は一日で百万までですからね。」

「望もグルと見て間違いなさそうね。一般市民がショッピングモールで下ろす金額じゃないものね。」

「ですね。次はリュックを見ています!数は三つ。レジに持って行きました。」

「どうやら、望の役目は逃亡の為に物と資金を準備する事のようね」

「ハイ。おっしゃる通りだと思います。」

「でも、必要ないのにね。」

 またしても、先手がうてそうで、安心した二人だった。
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