エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 色々と話してみると、おっちゃんには私達ぐらいの子供がいるらしい事が分かった。

 しかし、おっちゃんのヤバい仕事に家族までが、危ない目に遭う事もしばしばだったので、離婚したらしいのだ。

 だから子供が5歳の時から会ってないらしい。

 でも、無性に家族に会いたくなってどうしようもない時だけ、こっそりと会いに行くらしい。

 無論、離れた所でこっそり見たり、家の明かりに映る影をカーテンごしに見るだけらしいのだが、

 それだけで、気分が落ち着くらしい。

 だから、私達の境遇を知った時は、涙を流して、

「チクショー」

とマジで嘆いてくれた。

 そういう事って、私達には初めてだったので、無条件におっちゃんを受け入れた。

 そしておっちゃんも、私達に普段手に入らないお菓子や雑誌など、こっそりと与えてくれたり、

 何よりも、ヤミだが『戸籍』をどこかで拾ってくれると約束してくれたので、私はとても心強くなった。
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