エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
美佐子は斎場に着くと、先に待機していた大輔にすぐ人のいない所に連れ出された。
大輔はかなり興奮していたが、話しを人に聞かれてはマズイので、小声だが強い口調で美佐子を問い詰めた。
「なんだ!?清彦(中条)のあの顔は!!まるでもがき苦しんで死にましたと言わんばかりの死顔じゃないか?お前は病院で確認しているだろう?なぜワシに言わん!?何をしたんだ!!」
と怒りあらわに詰め寄った。
「はい。すいません。ちょっとした手違いがありまして。でも、今ここで話すわけには行きません。誰が聞いているかもわかりませんし、とにかく今は、なんとか繕うしかないので私も早めに来たつもりです。」
「そうだな。なんとかならないか、葬儀社の者に聞いて見るんだな。そして、お前も仮の夫だったにしろ、世間的には憔悴しきって悲しむ妻を演じろ!ワシは弔問客の相手をするから…」
「分かりました。」
美佐子は大輔に頷いてみせたが、腹の中では、
「うるさい!老いぼれがぁっ!!」
と、我が父親を心の中で罵倒していた。
大輔はかなり興奮していたが、話しを人に聞かれてはマズイので、小声だが強い口調で美佐子を問い詰めた。
「なんだ!?清彦(中条)のあの顔は!!まるでもがき苦しんで死にましたと言わんばかりの死顔じゃないか?お前は病院で確認しているだろう?なぜワシに言わん!?何をしたんだ!!」
と怒りあらわに詰め寄った。
「はい。すいません。ちょっとした手違いがありまして。でも、今ここで話すわけには行きません。誰が聞いているかもわかりませんし、とにかく今は、なんとか繕うしかないので私も早めに来たつもりです。」
「そうだな。なんとかならないか、葬儀社の者に聞いて見るんだな。そして、お前も仮の夫だったにしろ、世間的には憔悴しきって悲しむ妻を演じろ!ワシは弔問客の相手をするから…」
「分かりました。」
美佐子は大輔に頷いてみせたが、腹の中では、
「うるさい!老いぼれがぁっ!!」
と、我が父親を心の中で罵倒していた。