エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
危機一髪!
一方、もう一人の母、望は
(とにかくお通夜には行ってみよう)
と、喪服や小物を揃えている所にケータイが鳴った。
ディスプレーを見ると夫からだと分かったが、なんとなく出るのが躊躇われ、しばらくして仕方なく取った。
出来れば、夫をこの件に巻き込みたくなかったのだ。
だから声が沈んでしまったのかもしれない。
「ハイ。もしもし。」
と望が言うと、
「あっ!俺だけどなんかあったのか?買い物はしたんだろう?」
と、谷川はすぐに望の異変に気が付いた。
「うん。したよ。でも…」
望が、そこから先は何も言えずにいると、
「何でも話せよ。そう約束しただろう。」
と、谷川はムキになった。
「うん。分かってる。だけど、自分自身どうするかハッキリと決められないから…」
「だから、その迷っている事を話して欲しいんだよ!それとも何?また自分だけで決めて俺たちはカヤの外か?そんなに俺って頼りないのか?」
そこまで言われると、逆に夫に話さずに出かけていって、万が一そのまま帰れなくなったら、また、辛い思いをさせてしまう…と考えて全部話そう!と望は決心した。
(とにかくお通夜には行ってみよう)
と、喪服や小物を揃えている所にケータイが鳴った。
ディスプレーを見ると夫からだと分かったが、なんとなく出るのが躊躇われ、しばらくして仕方なく取った。
出来れば、夫をこの件に巻き込みたくなかったのだ。
だから声が沈んでしまったのかもしれない。
「ハイ。もしもし。」
と望が言うと、
「あっ!俺だけどなんかあったのか?買い物はしたんだろう?」
と、谷川はすぐに望の異変に気が付いた。
「うん。したよ。でも…」
望が、そこから先は何も言えずにいると、
「何でも話せよ。そう約束しただろう。」
と、谷川はムキになった。
「うん。分かってる。だけど、自分自身どうするかハッキリと決められないから…」
「だから、その迷っている事を話して欲しいんだよ!それとも何?また自分だけで決めて俺たちはカヤの外か?そんなに俺って頼りないのか?」
そこまで言われると、逆に夫に話さずに出かけていって、万が一そのまま帰れなくなったら、また、辛い思いをさせてしまう…と考えて全部話そう!と望は決心した。