エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
中条の通夜は21時を過ぎて、人もまばらになって来たので、美佐子は一旦、控え室へと戻った。
そして、急いで黒沢へとTELした。
すると、黒沢の声のトーンが低い。
(何かあったな!)
と美佐子は気付いたが、わざと
「こちらはもうだいたい終わったけど、そっちはどう?首尾よくやってる?」
と聞いて黒沢を試そうと思った。
もし、これで黒沢が何かを隠そうとしたり、取り繕おうとするなら、残念だが黒沢の男としての器は小さいと判断せざるをえない。
しかし、黒沢は自分の尾行の甘さが敵の警戒心を生み、その上、母性を導きだして屋敷での騒ぎにつながった事を素直に詫びて来た。
美佐子は、
(まだ青い。)
と思ったが、若い芽はこれから伸びようとしている。
今までの自分にはなかった人を『見守る』事が出来るようになった自分に驚いていると、
黒沢が、誰かに向かって
「何だ!今、電話中だぞ!」
と怒鳴りつけている。
そして、
「何!?それは本当か?」
と声をうわずらせて言った。
そして、急いで黒沢へとTELした。
すると、黒沢の声のトーンが低い。
(何かあったな!)
と美佐子は気付いたが、わざと
「こちらはもうだいたい終わったけど、そっちはどう?首尾よくやってる?」
と聞いて黒沢を試そうと思った。
もし、これで黒沢が何かを隠そうとしたり、取り繕おうとするなら、残念だが黒沢の男としての器は小さいと判断せざるをえない。
しかし、黒沢は自分の尾行の甘さが敵の警戒心を生み、その上、母性を導きだして屋敷での騒ぎにつながった事を素直に詫びて来た。
美佐子は、
(まだ青い。)
と思ったが、若い芽はこれから伸びようとしている。
今までの自分にはなかった人を『見守る』事が出来るようになった自分に驚いていると、
黒沢が、誰かに向かって
「何だ!今、電話中だぞ!」
と怒鳴りつけている。
そして、
「何!?それは本当か?」
と声をうわずらせて言った。