エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
黒沢が斎場に到着すると、待ちかねていた美佐子は走り寄った。
和装の喪服に身を包んだ美佐子は、一段と艶やかだったが、まさか今ここで抱き締めるわけにはいかないと、軽く手と手を触れ合った。
「まだ、テレビ局の車は来てないようですね?」
「そうね。まだ来ないわ。」
すると、そこに大輔がやって来て、
「美佐子から話しを聞いた。もうたくさんの要人が来ているから、君を美佐子の秘書として紹介するよ。一緒に来たまえ!」
と二人をうながした。
黒沢はモチロン今はそんな気になれなかったが、こういう機会はなかなかないという事はよく分かっていたので、快く従った。
要人とは、正に大物政治家ばかりで、黒沢は面食らったが、そこはホスト時代に鍛えた営業スマイルと巧みな話術で挨拶し、美佐子を安心させた。
そんな事を何度も繰り返しているうちに、時間はあっという間に開式の10分前になった。
「さあ、そろそろ席に着きましょうか!?」
今度は美佐子が皆を促した。
黒沢も後について会場に入ったが、『違和感』を感じて足を止めた。
(なんかおかしくないか!?)
和装の喪服に身を包んだ美佐子は、一段と艶やかだったが、まさか今ここで抱き締めるわけにはいかないと、軽く手と手を触れ合った。
「まだ、テレビ局の車は来てないようですね?」
「そうね。まだ来ないわ。」
すると、そこに大輔がやって来て、
「美佐子から話しを聞いた。もうたくさんの要人が来ているから、君を美佐子の秘書として紹介するよ。一緒に来たまえ!」
と二人をうながした。
黒沢はモチロン今はそんな気になれなかったが、こういう機会はなかなかないという事はよく分かっていたので、快く従った。
要人とは、正に大物政治家ばかりで、黒沢は面食らったが、そこはホスト時代に鍛えた営業スマイルと巧みな話術で挨拶し、美佐子を安心させた。
そんな事を何度も繰り返しているうちに、時間はあっという間に開式の10分前になった。
「さあ、そろそろ席に着きましょうか!?」
今度は美佐子が皆を促した。
黒沢も後について会場に入ったが、『違和感』を感じて足を止めた。
(なんかおかしくないか!?)