エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 美佐子が黒沢に気がついて、

「どうかしたの?」

と尋ねてきた。

「いないんです。アイツらが…  テレビ局の奴らがどこにもいない。」

 二人は顔を見合わせると、

「謀られたな!俺、すぐに帰ります。」

と言うと、黒沢は会場から飛び出して行った。

 美佐子は一人残されたが、まさか自分が夫の告別式に参列しないわけには行かないので、

 後は、黒沢に任せるしかなかった。

 すると、僧侶たちが入場してきて開式の時刻になった。

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