エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「それはどうしてですか?」

「君ら親子には本当に申し訳ない事をした。だから一目会って誤りたかったんだ。」

「では、いつから私が気がふれたフリをしていると、気付いてたのですか?」

「そーだな。最初から分かってたような気がするな。まあー今となればの話だが…」

「それでアナタは私に色々な物を与えてくださったのですか?実はこのワンピースもなんです。覚えていらっしゃいますか?」

「ああ、勿論。よく似合ってる。」

 今度は弥生が頬を赤らめた。そして、それをごまかすように

「実は、今日はお願いがあってきたんです。」

 弥生は今から話す事が、重病人にはあまりよくないと思ったが話さないわけにはいかない。

 すると、中条の方から

「俺が死んでからの心配だろう?」

と、聞いてきたので思い切って話す事にした。
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