エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「ええ、その事なんですが…」

 そして先日、美佐子たちの話しを盗み聞きした事を伝えた。

「詳しく話してくれないか。」

 弥生はそれに答えるように、一言一句たがわぬように再現すると、しばらく中条はだまってしまった。

「やはりな。という気はしてるが、現実に突き付けられると…ちょっと堪えるな。」

「スイマセン。」

「いや、君が誤る必要はないよ。それに今は、あの子たちの事を考えなくては!」

「あのうー実はまた大変申し訳ないのですが、話さなければならない事があります。」

 すると、今度はまったく見当がつかないのか、中条は黙ってうなづいた。
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