エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「ズバリ言いますと、勇はアナタの子供ではないんです。」

と、弥生は切り出した。

 中条は、ポカンと口を開けていたが、

 突然、大笑いをした。

「それも勿論知ってたさ。」

 思いがけない中条の言葉に、弥生が驚く番になった。

「ああ、でも、君を連れ出した時は知らなかったんだ。」

「それはそうでしょうね。あの前日に、病院に行って分かって、まだ工藤にさえ話してませんでしたから…」

「そうか、ヤツは知らないんだな!でも知ってたならその後も金をせびりに来てただろうからな。」

「えっ その後!?借金を肩代わりしてもらっただけじゃなくて、工藤に現金も渡したのですか?」

「ああ、もう時効だから話すが、一千万キャシュで払った。」

「一千万もの大金を…そしてあの人は今どうしてます?真面目に働いているのですか?」

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