エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 とっさの思いつきだったが、弥生は我ながら名案だと思った。

 そして、望もそう思ったのか、

「分かりました!三人分の着替えや生活必需品など、それぞれリュックに詰めて準備しておきますから、くれぐれもご無事で。待ってます。」

と答えてくれた。

 そして、

(私は盾になるから到底逃げられないだろう。でも三人分と言ってくれる望の優しさに励まされた。)

と弥生は考え、

「ありがとうございます。」

 涙声になりながら、お礼を言った。

「それじゃあ、住所をいいます。メモ出来ますか?」

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