エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「別に変わりはありませんでした。」

 里子は美佐子に報告をした。

(そんなハズはない!)

と、今すぐ弥生のとこに行って、身ぐるみ剥いでペンダントを見つけだしたい衝動に駆られたが、

(今、騒ぎを起こすのは得策ではない。泳がせてシッポをつかまなくては!)

と自分自身を必死に諫めて、

 里子には、

「そう。でも、誠一にこっそり弥生をみはって、部屋に出入りする者はいなかったか報告するように言って!」

と命令して下がらせた。

(中条と弥生はデキていたなんて。おまけにあの女はバカになったフリをして18年も私を欺いていたなんて、絶対に許せない!!)


と怒りを爆発させていた。


(黒沢、早くみやげを持って私を助けに来て。)

 そう心の中で叫んでいた。

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