完全防備の渚くん





俺は、ガタンっと席を立って詰め込んだラノベで膨らんだカバンを肩にかけ、




小倉さんを睨んでから教室を出た。




何で一方的に絡んできといて、『嫌い』だよ!




ふざけんな!ムカつく!



見た目だけじゃなく中身まで幼稚園児かよ。



らむちゃん見習えよな。





「待って!待って渚くん!違う!」




はいはい、もう興味ありません。




「待って!!待って、待って、待って!」





早歩きしていた俺を、全力で追いかけてきた小倉さんが


俺の前に回って小さな手で通せんぼした。





「何」




「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、本当にごめんなさいっ!!」



謝るなよ、もっとウザいから。





「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ!」




しかも何で泣いてるの、意味わからないし。




小倉さんは、何回も謝りながら制服で涙を拭った。





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