完全防備の渚くん
冗談はさておき、何がしたいのかこの人は。
この人が名前を呼ぶおかげで、クラスにいる人たちが俺を見るじゃないか。
「渚くん、それ、面白いの?」
小倉さんが、俺の手にあるラノベを指さしていう。
「…」
俺はそれを無視して、ヘッドホンをつけ直し、
ラノベに目を落とした。
お前みたいなヤツにラノベの良さが分かるか!
いや、分からせてたまるか!
「はぁ…」
小倉さんが肩を落としたのが分かり、諦めて席に戻るかと思いきや…
「ねぇねぇ、これ何のゲーム?りふぁいる・えっど?何これ面白いの?」
俺のPSPを勝手に弄んでいるではないか!
それは俺が発売前日に新幹線で東京まで行って、夜中じゅう寒さに震えながら並んで、
全国で一番に手にしたゲームだと言うのに…!!
そう、俺はリファイル・エッドを、日本で一番最初に手に入れた歴史的人物なのだ!!!!!!
俺はPSPを、小倉さんから素早く取り上げた。
「…むぅ」
小倉さんは不服そうな顔をして俺を睨む。