未知の世界5
しかし、痛い…。
右脚がズボンにこすれてヒリヒリしてる。
さっきお風呂に入った時もお水で冷やしてはみたけど、赤みは消えなかった…。
前にもこんなことがあった。
あの時は料理してて鍋を触って手をヤケドしたんだった。
もう傷は消えてないけど、水ぶくれになったんだよね。
まだ脚は水ぶくれまでにはなってないと思うけど。
なってないことを祈るけど…。
「………い!」
ん?
「おいっ!」
顔を上げると、孝治さんと進藤先生が私を見つめてる。
え?
「ボーっとしてどうした?箸が進んでないぞ。」
あ、脚のことに気を取られて忘れてた。
『かなちゃん、大丈夫?食欲ない?』
「いえっ!大丈夫です。」
『何か考え事?』
進藤先生はさすがだ…。けど考えてたなんて言えない…脚のことは言えない…。
「いえ、久しぶりの自宅、なんだか落ち着くなぁと思って。」
当たり障りのない返事…。
バレないといいんだけど。
「まぁ、そうだろうな。
仕事はまだ復帰まで時間があるから、ゆっくり回復していけばいいからな。」
滅多に優しくならない孝治さんから、こういう言葉が掛けられると、顔がにやけてしまう。
でも進藤先生の前だし、ここは無表情で。
再び二人は仕事の話を進め、食事は何とか終わった。