未知の世界5
病院に着いて受付を済ませると、お父さんは仕事なので別れた。
皮膚科の待合はおじいちゃんおばあちゃんか、赤ちゃん連れのママさんが数人しかいない。
そんなに待つことなく、診察室へ呼ばれた。
「お願いします。」
丸椅子に座ってスカートをめくり、ガーゼを外す。
『あぁ、結構大きくやったねぇ。
君、前もヤケドのあとにこんなことになったよね。』
へっ!?
そんなことを言われて驚きを隠せずにいると。
『そうだね、前は寝ている時に治療したからね。ハハ』
「そうでしたか…。」
『まぁ、大きな水膨れができちゃうと、どうしてもこうなっちゃうよね。』
はぁ、そうですか。
『ヤケドはしたらすぐに冷やす。これに限るよ。』
「はい、分かりました。」
医大で充分習ってるんだけどな…。
よく喋る皮膚科の先生は、手際よく処置を終えた。
『またひどくなったり、かゆみが出てきたら、気にせず来てね。』
「はい、ありがとうごじいました。」
気さくなのか、お節介なのか、ただ喋るのが好きなのかよく分からないけど、まぁ、嫌な先生ではなかった。
そんなことを思いながら皮膚科を後にして、孝治さんのいる医局へ向かった。