未知の世界5
過去と現在
誰もいない昼間のこと〜
いや、誰かいたのかも知れないけど、まるで私たち二人しかその建物にいないかのように物音がせず、暗くてひんやりとした空気が流れた。
「イヤっ!辞めてください!」
力強く腕を引かれる。その反対の手で近くの柱を掴んだけど、すぐに引き離される。
足で力一杯踏ん張るけど、その抵抗は虚しく、ズルズルと事務室に入れられる。
扉が閉まった瞬間に、絶望感が襲ってくる。
それと同時に着ていた服は剥ぎ取られた。
何も身につけないまま、館長の寝る恐ろしく冷たいベッドに仰向けにされる。
シーツに染み込んだ汗の匂い…。
気づくと両手は縛られ、口には何かで塞がれ。
抵抗をすれば拳が飛んでくる。
まだ高校生の私には一発一発が重く、意識が朦朧とする。
そして体中に激痛が走り、それは恐怖と共に襲いかかった。
それをまるで第三者であるかのように、私は遠くから眺めている。
長いことかかって、ようやく男は私の中で力尽きた。
その光景がなんとも言えないほど悲しく、目に焼き付く。
そのシーンだけが、何度も繰り返される。
ドクドクとお腹中に何かが広がる。
男が離れると、私の体からドロっと黒っぽい、いやあれは赤。真っ赤な血が流れ出る。
その瞬間、私は第三者の立場から、ベッドの上に仰向けになった。
誰かに助けを求めたいけど、声が出ない。涙がひたすら頬を伝う。