未知の世界5
ピッ、ピッ、ピッ………
身体の重みを感じると共に、胸に痛みが走り、目を覚ます。
真っ白い、いつも見ていた天井が現れた時、今ここに、自分は生きているんだという実感が、さらなる胸の痛みとこみ上げて来た。
…痛い。
生きていることにありがたみを感じているのだが、それよりも胸の痛みがたまらなく辛い…。
生きるってそういうことなんだね。
口が渇ききっていて、言葉が出てこない。
誰か呼ばなきゃと思い、手でナースコールを探ってみる。
ガラッ
「お、目が覚めたか?」
誰か呼ばなきゃと思ってはいたものの、実のところ幸治さんが来てくれたら…と期待していた。
「手術は無事に成功したからな。」
そう説明するのは石川先生。
そう、私の指導員。
「目が覚めて一番に俺で悪かったな。」
ぶっきらぼうに答える。
そんなことはないんだけど、幸治さんの方が良かった。
一応、そんなことはないですと伝えようと口を開けるけど、喉が渇いてて尚且つ、口に呼吸器が付けられていて声が出ない。
「もう少しこのままで、経過が良ければ外すから。」
私が喋ろうとしたことに気づいた石川先生は、そんな間にもテキパキと私の見えないところで聴診している。
手術をされてはいるものの、やはり指導員に胸を見られるのは恥ずかしい。
抵抗もできないまま、診察は続けられる。