未知の世界5
さらなる高みへ
それからりさちゃんは数日で退院となると入れ替わりに、新しい患者が何人か運び込まれ、そのうちの数人を担当することとなった。
また予約外来では、アレルギーの患者が外来を始めた当初よりも多くの患者が来るようになった。
予約制なので、時間が押されることのないように、数人ずつの予約となる。
なので予約がなかなかすぐには取れず、週に一回来て欲しい患者でも、月に一度の診察になってしまう患者も多数いた。
一体、町医者ではどうなってるのか…。
私の患者の多くが町医者でも診てもらえるはずなのに…。
「はぁ」
と仕事を終えた後の私は、吸入を目の前にしてため息が出た…。
『それは何へのため息かな?』
ハッとすると、いつの間にか隣にきていた進藤先生に声を掛けられた。
『ん?吸入?それとも最近の忙しさ?』
「い、いえ……。」
どちらもです。
『最近の吸入はまた一段と酷くなってるから、近いうちに検診入れとくねー。』
「ぇえっ!検診先週やったばかりなんで、まだ三週間くらい後ですよね!?」
なぜにいきなりそんなことを!?
『だって、かなちゃん日に日に疲れてきてるから、心配なんだもーん。
それに、食事も相変わらず食べてないし。』
どうしてそれを……、誰だ一体。
一人前となり、指導医がいなくなったから、食事も一人で過ごしてきたのに。
誰かが私を見ている…。
と毎日の食事を思い出すけど、分からない。
『まぁ、とにかく、近いうちに。』
納得いかないまま、過酷な吸入を始めた。