未知の世界5

『おい、走るなっ!』







後ろでそう叫ぶ石川先生。







そのまま廊下を走り抜けようとすると、








ガシッ







すぐに腕を引っ張られ止められる。









え?石川先生、速くない?








振り向くと幸治さんだった……。








この状況……。見られていた。








顔が青ざめていくのが分かる。








『何走ってんだ?』








そうだ、幸治さんはいつでもこう。








すぐに私のことをダメなことがあれば注意してくる……。







私の意見も聞かないで。








『はぁ、石川先生の言うことなら、聞くと思ったのになぁ。』








ため息をつく幸治さん。








「どうして、みんなして私をはめようとするの?」








いつもなら何も言えない私だけど、つい最近のイライラが溜まって、思っていたことが口から出ていた。








『はぁ?はめるなんてしたことないだろ?』







「そんなことないもんっ!
いつだってみんなで私のことを監視して、責めて…。
一つ悪いことがあったら、人の気持ちも聞かずに責めるんだから。」







『はぁ……、もういいから、あんなこと二度と調べるな。』







良くないよ……。私のことはどうでもいいって、どういうこと!










幸治さんに掴まれた腕は、引っ張られて医局にすんなりもどされた。






< 310 / 393 >

この作品をシェア

pagetop