未知の世界5
『おい、走るなっ!』
後ろでそう叫ぶ石川先生。
そのまま廊下を走り抜けようとすると、
ガシッ
すぐに腕を引っ張られ止められる。
え?石川先生、速くない?
振り向くと幸治さんだった……。
この状況……。見られていた。
顔が青ざめていくのが分かる。
『何走ってんだ?』
そうだ、幸治さんはいつでもこう。
すぐに私のことをダメなことがあれば注意してくる……。
私の意見も聞かないで。
『はぁ、石川先生の言うことなら、聞くと思ったのになぁ。』
ため息をつく幸治さん。
「どうして、みんなして私をはめようとするの?」
いつもなら何も言えない私だけど、つい最近のイライラが溜まって、思っていたことが口から出ていた。
『はぁ?はめるなんてしたことないだろ?』
「そんなことないもんっ!
いつだってみんなで私のことを監視して、責めて…。
一つ悪いことがあったら、人の気持ちも聞かずに責めるんだから。」
『はぁ……、もういいから、あんなこと二度と調べるな。』
良くないよ……。私のことはどうでもいいって、どういうこと!
幸治さんに掴まれた腕は、引っ張られて医局にすんなりもどされた。