未知の世界5
幸治さんに手を引かれたまま医局の休憩室に連れて行かれる。
そしてソファに座らされる。
『何であんなこと調べてるんだ?親父に言われたからか?』
どうせ何か答えただけで、口うるさく言われるんだから……。
言わない方がいいに決まってる。
『かな、答えなさい。』
「…………。」
『あんなこと調べたところで、何か変わるわけではないんだ。』
そうだよ、でも私にも覚悟する時間だってできる。
幸治さんが私に説得していると、石川先生や早川先生まで入ってきた。
こんな私の気持ち、誰かに分かってたまるんもんか…。
イライラが募ると、何だか胸のあたりがザワザワしてきた。
胸元をさすると、何もなかったかのようにザワザワは消える。
『ん?大丈夫か?』
どれだけ観察されているのか、石川先生に聞かれる。
「何でもないです。
もう……、調べたりしませんから。」
こういう時は、さっさと言うことを聞くフリをして、この場をやり過ごす。
『本当だな?』
「はい。」
そう答え、ソファを立ち上がり休憩室を出ようとすると、石川先生に腕を取られる。
『さっき走ったから聴診するぞ。』
「大丈夫です!」
そういい取られた腕を引っ張る。
『かなっ!?』
幸治さんにも言われるけど、腕を引っ張るとすぐさま休憩室を出て行った。