未知の世界5

このまま医局にいても何か言われるだけだから、と医局を出た。







私の行く場所なんて限られている。






今、このイライラした状態で病棟に行く訳にはいかないので、検査室に向かった。






この土日の風邪も治ったけど、気になるしね。







それに自ら吸入に行ったことがないって言われるのも嫌だし。







ちゃんとこうやって行けるんだからっ。








ブツブツ言いながら検査室に着くと、まだ開いていた。






いつものように……いや、だけど今日は誰もいないし、マスクじゃなくても…と、筒状タイプのもので吸入を始める。







途中、途中でむせるけど、発作を引き起こすような咳ではなかった。







「ふぅ、終わった。」



















吸入を終えて医局に戻ると、当直の先生しか残っていなかった。







ホワイトボードに目をやると、今日は中堅の先生方で飲み会らしい。







私には関係ないけど、幸治さんや早川先生、石川先生はその飲み会に参加する。






もういないなら、と仕事を始めた。







と言っても、プロジェクトに向けての練習だけど。






だいたいの器具は覚えた。
手術の手順も基本的なものは覚えたし。








あとは縫合の仕方とか、それぞれ器具の使い方。手さばきを動画で見たり、実践して練習する。













………………











『ふぅ。』







一息ついて時計に目をやると、







『わっ!こんな時間!』







23時……。







慌ててロッカーに向かい、着替えて病院を出た。

< 312 / 393 >

この作品をシェア

pagetop