未知の世界5

午後からオペを始めた幸治さんと、それを見学していたたけるは、私たちほどかからず、吸入を終えた私が医局に戻る頃に二人も戻っていた。







『かな、お疲れ様。何時に終わったの?』





「一時間くらい前かな?」







『えっ!?体は大丈夫?』








たけるまで心配性が悪化してる……。







と目を細める。







『ごめんごめん、だって僕だって今見学してきた時間で、ものすごい疲れたんだもん。
かなはそれ以上だなんて、心配にもなるよ。』







慌てるたける。







心配してくれるのはありがたいけど……。これ以上監視されるのは嫌だな……。





そんなやりとりを聞いていたのか、







『オペ中体力なくて、疲労で倒れないように、しっかり食べて飲んで寝る。そしてかなは吸入。分かったか?』







と幸治さんに言われ、たけるは







『はいっ!』







と意気込む。







チラッとこちらを見る幸治さん。








「は、はい……。」







一応、返事をしておく私。







『もうまもなくかなの大好きな人が戻ってくるからな。それまでに体調万全にしとけよ。』






え?






とカレンダーに目をやると。







あ、もう進藤先生が戻ってくるんだ…。







また怒られる毎日なんだな…と思うと憂鬱になる。







あれ、そういえば加藤先生って検診の連絡くれるって言ってたけど、かれこれ長いこと検診が入ってない。





こんなに長いこと検診入ってないことは今までにない…か、な?
まぁ大丈夫だろうと言い聞かせる。








今日は本当に疲れる一日となった。
よく眠れそう。
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