未知の世界5
点滴が始まって1時間も経とうとしてるけど、なかなか終わる気配がない量…。
こんなにやっていたらトイレが近くなってしまう。
結果は幸治さんが帰ってきてからでも充分なのに、まだ待つ必要があるのだろうか。
と、そんな時に看護師さんがやって来た。
「あ、あの。
点滴、もう外してもらえませんか?」
『ごめんなさいね。これがなくなるまで、ということを先生に言われてますので、もう少し待っててくださいね。』
はぁ。こういう返事が来ることは分かっていた。
こう来たら、もう医師として学んだことを生かして……。
「痛っ!」
さすがに自分で外すと角度が違うせいか、痛い。
外して、置いてあるティッシュで止血して。点滴はこぼれないように止めて。
検査着のままだったので、着替えを済ませて。
会計は病院職員は後から請求が来るけど、無料なのでこのまま帰ろう……。
2階の処置室を出て、誰にも会わないようにと階段に向かう。
点滴のおかげか、体はすこぶる元気さ。
吸入もしたし、今日はこれ以上いてもやることはない。と思って歩いていると。
『え?何してるの?』
と声を掛けられる。
その方を見ると……。