未知の世界5
ウトウトし始めたところで、食事が運ばれてきた。
『佐藤さん、食欲はどうですか?』
持ってきた看護師に声を掛けられる。
「……あんまりです。」
あれだけ動いたのに、食欲が湧かないほど気持ちがブルー……。
『進藤先生から、完食するように……と。』
直接言いに来ないところが、妙に引っかかる。
『それと、湿布持ってきましょうか?』
と頬を指差す看護師。
まだ腫れてるんだろう。
「いえ、結構です…。」
しばらく病院にいるだろうから、頬が腫れてても構わない。ただ、まだ熱が引かないところが心配だけど。
『分かりました。
また食事が終わられた頃に取りに来ますね。』
と優しく微笑むと、部屋を出て行った。
完食って……、絶対無理。
おかず一品だけでも完食できる気がしない。
それよりも、眠い。
あぁ、でもこの目の前のご飯をどうしたらいいのか……。
再びウトウトし始めた私は、ご飯の置かれた机に頭を乗せて眠りについた。