未知の世界5

ウトウトし始めたところで、食事が運ばれてきた。







『佐藤さん、食欲はどうですか?』






持ってきた看護師に声を掛けられる。








「……あんまりです。」








あれだけ動いたのに、食欲が湧かないほど気持ちがブルー……。







『進藤先生から、完食するように……と。』








直接言いに来ないところが、妙に引っかかる。







『それと、湿布持ってきましょうか?』








と頬を指差す看護師。
まだ腫れてるんだろう。







「いえ、結構です…。」








しばらく病院にいるだろうから、頬が腫れてても構わない。ただ、まだ熱が引かないところが心配だけど。








『分かりました。
また食事が終わられた頃に取りに来ますね。』







と優しく微笑むと、部屋を出て行った。







完食って……、絶対無理。







おかず一品だけでも完食できる気がしない。







それよりも、眠い。







あぁ、でもこの目の前のご飯をどうしたらいいのか……。








再びウトウトし始めた私は、ご飯の置かれた机に頭を乗せて眠りについた。
< 328 / 393 >

この作品をシェア

pagetop