未知の世界5
『……きろっ!
……起きろ!』
ハッとして、頭を上げると幸治さんの姿。
『何寝てるんだよ。』
まだ、眠い……。
「ぇっと、ねむくて……。」
まだ半分夢の中だけど、ハッキリと喋れてないことはよく分かる。
『入院の服やタオル、ここに置いておくぞ。』
棚に置く幸治さん。
『また今日もやらかしてたな……。何逃げてんだよ。』
「逃げたんじゃないもん!
いつまでも検診終わっても点滴してるから……。
早く帰りたかっただけなのに。」
『……検診途中で家に帰すことが厳しいって判断したから、結果が出るまでと言って、帰さなかったんじゃないのか。
よくあることだろ?』
「……私には初めてのことだもん……。」
『まぁ、かなにはそうかも知れないけど、医者として自分たちもよくやることだろってことだ。
何を言っても、検診結果は良くなかったんだから、しばらくは休めよ。』
「はい……。」
そういうと、幸治さんはまだ仕事が残っているからと言い、医局に戻って行った。
わざわざ家に帰って荷物を取りに行ってくれたみたい。
私も早く帰りたい……。
そんなことを思いながら、手をつけていない食事を見つめた。