未知の世界5
「ゲホッゲボ、ゲホッゲボゲホゲホゲホゲホッ!」
パッと目がさめると、口の中にまだご飯が残っている。
そしてその直後、ご飯が喉の奥に入り込み、咳が出てきた。
「ゲホゲホゲホゲホ」
発作よりもご飯が詰まった感がひどい。
「カアッ!」
何度か力強く吐き出そうとするけど、どこかに入ってしまった米粒。
お茶を飲み込んで、口の中だけでも綺麗にする。
「ゲホッゲボ、ゲホゲホゲホゲホ!
はぁはぁはぁ、ゲホッゲボ、ゲホッゲボ、ゲホッゲボ!」
と次第に咳が止まらなくなってきた。
これはヤバイ……。久しぶりに酷い咳が出てきた。
「ゲホゲホゲホゲホ、ゲホゲホゲホゲホ!」
ガラッ!
勢いよく扉が開くと、入ってきたのは担当の看護師さん。
『大丈夫ですか!?今先生呼びますね。』
「ゲホッゲボ!ゲホッゲボ!ゲホッゲボ!」
『落ち着いてくださいね。ゆっくり呼吸しましょう。』
冷静に指示する看護師をよそに、全くセーブが利かなくなった私。
呼吸がどんどんできなくなって、首より上に力が入っていくのがわかる。
『落ち着くんですよー!』
冷静さを保っていた看護師に焦りが出てきたことがわかる。
ナースコールで応援を呼び続けている。
『うっ……うぅっ。』
く、苦しぃ…………。
次第に目の前の映像が見えにくくなる。
『落ち着くよー。
はい。代わるね』
と誰が来たのか顔を確認できない。
でも進藤先生の声。
『目を開けて、目をちゃんと開けて!』
苦しくってもう今にも意識が飛びそう……と思っていると、次第に咳が落ち着いてきた。
「はぁはぁはぁ」
ようやく目を開けると、胸を聴診する進藤先生の姿。
ツーン
鼻の奥が痛む。
鼻筋を抑えると、
『アゴ上げて。』
と頬を両手で挟まれ、顔を上にされる。
『耳鼻科の当直医、まだ残ってるかな?呼んでくれる?』
看護師に指示する進藤先生。
特に声をかけられる訳でもなく、手際よく処置されている。