未知の世界5

『あらぁ、かなり入ってるね。苦しいけど、すぐに終わるから…』








ボーっとする私の頭を看護師に持たれ、私の鼻の奥を診る耳鼻科の当直医。







細い管が鼻の奥に入ったと思うと、ムズムズ感と痛みが混じり合い、苦しくなる。







こんなに苦しいのに吸引し続ける目の前の医者が悪魔に思える……。






我慢できなくて、手で目の前の手を掴む。







『あっ!ダメダメ!』








すると、また別の手に私の手首をガッチリ掴まれ、あまりの強さに手を離す。








ちょうどその頃両方の鼻の吸引が終わった。







「ケホッケホッケホッ!」








鼻より掴まれた手首が痛む……。








終わって周りを見ると、進藤先生に掴まれたことが分かる。







手首には赤い筋がある。








今日は酷く当たられてる……。








『口に入れたまま寝ちゃったんじゃない?』








耳鼻科の当直医に聞かれ、頷く。








『疲れてたのかな?っていうか、熱いね……。』








と額を手で触られる。








『では、私はこれで……。』








当直医が立ち上がると、








『ありがとうございました。』








と進藤先生が頭を下げたので、私も一緒に頭を下げた。








当直医に続き、看護師も部屋を出て行く。







私は眠いのと怠いのでフワフワしていた。
< 332 / 393 >

この作品をシェア

pagetop