未知の世界5
『あらぁ、かなり入ってるね。苦しいけど、すぐに終わるから…』
ボーっとする私の頭を看護師に持たれ、私の鼻の奥を診る耳鼻科の当直医。
細い管が鼻の奥に入ったと思うと、ムズムズ感と痛みが混じり合い、苦しくなる。
こんなに苦しいのに吸引し続ける目の前の医者が悪魔に思える……。
我慢できなくて、手で目の前の手を掴む。
『あっ!ダメダメ!』
すると、また別の手に私の手首をガッチリ掴まれ、あまりの強さに手を離す。
ちょうどその頃両方の鼻の吸引が終わった。
「ケホッケホッケホッ!」
鼻より掴まれた手首が痛む……。
終わって周りを見ると、進藤先生に掴まれたことが分かる。
手首には赤い筋がある。
今日は酷く当たられてる……。
『口に入れたまま寝ちゃったんじゃない?』
耳鼻科の当直医に聞かれ、頷く。
『疲れてたのかな?っていうか、熱いね……。』
と額を手で触られる。
『では、私はこれで……。』
当直医が立ち上がると、
『ありがとうございました。』
と進藤先生が頭を下げたので、私も一緒に頭を下げた。
当直医に続き、看護師も部屋を出て行く。
私は眠いのと怠いのでフワフワしていた。