未知の世界5
残ったのは進藤先生。
知らない間に脇に差し込まれていた体温計が鳴ると、私が反応する前に進藤先生の手が伸びる。
表示された体温がいくつなのか、気になったけど進藤先生が口を開かないので、分からないまま。
再び聴診が始まる。
この静かな空気が、さらに眠気が襲う。
ガラッと扉の音がなると看護師が入ってくる。
頭の後ろに氷枕が置かれ、点滴の中に何か薬を入れている。
解熱剤かな……。
「ヒャッ!」
突然冷たくなる頬に手を当てる。
氷嚢が左の頬に当てられていた。
あまりの冷たさに我慢できず、氷嚢は取り除こうとする。
『あ、ダメですよ。ここの腫れから熱が出てるんですから、まずはここを治しましょう。』
そこまで言われると大人しくしているしかない。
次第に薬が効いてきたのか、眠ってしまった。