未知の世界5

目を開けると、辺りは明るくなっていた。






時計はお昼前を指している。








そうなると、朝食は終わっているみたい。






トイレに行きたいと思い、体を動かす。






今は何も胸に付いていないので、行っても大丈夫そう。







廊下を出てトイレに向かう。








するとすぐに、私の顔を確認した看護師に声をかけられる。







『あ、佐藤さんどうされましたか!?』








「えっと、トイレですけど……。」








『そうなんですね、そしたら私がトイレまで行きますのでね。』







とぴったりと私にくっついてくる看護師に、若干邪魔だな…と思いながらもトイレに向かう。







一人で入り、用を足す。








はぁ、ホント早く帰りたい。回復するまで入院だなんて、いつになることやら…。






そんなことを考えながら、腰を上げて服を整えようとする。








グラッ!!!








ドンッ!







っつーーーーーーーーーー……。








『佐藤さんっ!大丈夫ですか!?』






大丈夫だから、そんな大きな声出したら恥ずかしいでしょうが……。








返事をせずに、扉を開ける。







『どうされたんですか!?』







慌てる看護師に、







「大丈夫です、目眩がしただけですよ。」






と言うと、今度はガッチリ腕を掴まれ、部屋に向かった……。







最近、目眩が酷いな。







部屋に着いてベッドに仰向けになる。







頭がグァングァンしてきた…。目を閉じても変わらない。








すると、ノックの音の後に誰かが入って来た。








目を開けられない……。









『起きてるね。一度体を起こせる?』








進藤先生の声……。







今は無理……、手を振って無理だと合図することすらできない。







目頭を押さえたまま。







すると、ベッドが自動で傾いていった。







『ちょっと手をどかすね。』







今はやめて……、と思うけど、すんなり手を外される。








目を開けられる。







うわっ……









頭がフラフラしてきた。








『はい、いいよ。』








と手を離されるのと同時に頭は枕におさまり、再び手で目頭を抑える。








治って。この変な感じ……。







乗っていないのに、船酔いしているみたい。






地上にいるのに船の上にいるみたいに揺れている。








『ひどい貧血だ……。』








看護師に貧血に効く薬を支持している。







早く治って……。








< 355 / 393 >

この作品をシェア

pagetop