未知の世界5
『〜プルルルル…プルルルル……
お掛けになった電話番号は……。
はぁ……』
更衣室で電話を片手にため息をつく幸治。
『幸治くんっ、まだ出ない?』
それを見ていた進藤先生が声をかける。
『はい……。もう上がりますので急いで自宅を確認します。』
『あぁ、僕も行くよ。
退院時、病棟のナースが帰るのを確認してるんだけど、その後は分からない。
何もないといいけど……。』
2人は急いで更衣室を出ると、自宅に向かった。
ガチャ
幸治が玄関の扉を開ける。
玄関をみると、そこには……かなが崩れるようにして寝ている……。
『おい、かな!かなっ!』
頬を数回叩いてみる。
「ん?」
眠たい目を擦りながら幸治の顔を見るかな。かなは幸治と進藤先生がいることに、そして、幸治と進藤先生は、かなが玄関で寝ていることに驚き合っている。
『こんなところで何してるんだ?携帯もつながらないままで……。』
と慌てた幸治が尋ねる。
「……あっ!」
携帯を確認することを忘れていたかな。
『とりあえず、リビングに行くぞ。』
そういうと、かなの持って帰ってきた入院バッグを持ち上げ、かなの体を支えながら幸治と進藤先生は部屋に入った。